社是の意味とは【社訓・経営理念との違いや企業の実例を用いて解説します】

記事更新日:2024年05月21日 初回公開日:2024年05月21日

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社是(しゃぜ)とは、経営理念や経営方針などと同様に、企業の考え方や価値観を表す言葉です。しかし昨今においては経営理念と同様とし、社是を設ける企業も減少しているようです。その一方で、創業以来変わらず同じ社是を掲げている企業も複数あり、企業哲学とさえ言われている素晴らしい言葉が存在しています。ここでは、「社是」の意味や社是の必要性から社是の作成のポイントまで、詳しく解説いたします。企業の価値観や経営方針を内外に分かりやすく伝える「社是」の必要性なども説明しますので、参考にしていただければ幸いです。

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社是とは

経営上の方針を表す言葉

社是とは、経営上の方針を表す言葉です。社是の「是」とは正しいという意味を持ち、社是とは会社が正しいとする方針および主張を捉えることもできます。社是は経営理念をもとに考え、経営方針を分かりやすい言葉で表現し、内外に伝える会社にとって最も重要なものです。社会における会社の存在価値を明確に主張するとともに、会社が将来に向けて描いているビジョンを、全社員およびステークホルダーに伝達および浸透させるものになります。

社是と社訓の違い

社訓は従業員が守るべき会社の理念のこと

社是と類似した言葉に社訓がありますが、社訓とは会社に従事する社員全員が守るべき会社の理念のことを言います。社訓の「訓」には教えの意味があり、経営者や創業者からの教えや戒めなどと解釈することもできます。社是が企業内だけに留まらず社外にも発信する言葉であるのに対し、社訓とは企業内部の従業員に限定したものです。また社是は前述のように、会社が正しいとする理念を分かりやすい言葉で伝えることであるのに対し、社訓は企業理念を守るように指導するという強い意味を持ちます。

社是と経営理念の違い

経営理念は企業の経営などにおける基本的な価値観のこと

経営理念とは企業の経営などにおける基本的な価値観のことで、経営者が企業としての信念や考え方および企業の存在意義を示したものです。企業が何のために、どのような目的を持って経営しているのかを表現し、従業員に企業が目指す方向性を示すものになります。対する社是は前述のように、経営理念などをもとに、会社が正しいと考えることを言葉で分かりやすく伝えながら、経営者側から従業員に対し指導教育するものです。しかし、経営者と従業員の上下関係を感じさせるため、企業理念に集約する企業も増えています。

社是の必要性

社員全体に浸透させ方針を理解してもらうため

社是は、会社の基本的な考え方を社員全体に浸透させ方針を理解してもらうために必要なものです。そのためには、経営陣や管理職が社是を十分に理解し、会社全体で同じ方向を目指すことが大切になります。社員に理解を促す上層部の考え方や価値観がバラバラであったならば、全社員が企業理念を理解して行動することは難しいでしょう。経営陣から従業員全員に同じ考え方が浸透することにより、ブレのない企業体制が整い一丸となることで、強い企業力を発揮することができます。

より良い商品やサービスを提供することにつながるため

より良い商品やサービスを提供するためにも、社是は不可欠だと言えます。企業の目的は企業の繁栄だけでなく、ユーザーが満足し快適な生活を送ることを目指すものです。そうした企業としての社会的な目的なども社員に浸透させることにより、いまよりも少しでも良い商品を作り、高いサービスを提供しようという気持ちが芽生えるでしょう。社是には、会社が存在する意味を従業員に深く理解してもらうことで、良い商品を作ることやサービス向上に繋げる役割を担っているのです。

社是の作り方

大切にしている価値観やものごとを判断する際の軸を考える

社是を作る際には、企業が大切にしている価値観やものごとを判断する際の軸を考えることが第一段階です。社是は会社として正しいと判断する基準になるものであり、全ての行動や活動をする際の基本軸となります。この会社としての重要な価値観を明瞭に社是に記載し、経営陣から全従業員に隈なく浸透させ実行してもらうことが重要です。よって、この判断軸は企業の営利のみを優先する内容ではなく、一般社会においても国民が納得できる時代に即した内容でなければいけません。

他社事例を参考にして共感するフレーズを書き留める

他社事例を参考にして共感するフレーズを書き留めておくと、社是を作る際に役立ちます。社是に記載しなければいけない事項などのルールは存在しません。自由度が大きすぎるため、何を書けばよいか迷うこともあるでしょう。そうしたときに、他社の事例はとても参考になります。とくに自社に近い価値観を持つフレーズなどは、業種などを問わず共感できるものです。参考になるフレーズを集めておき、自社の社是を作成する際に役立てると良いでしょう。

社是を作成する際のポイント

わかりやすさを重視する

社是を作成する際には、わかりやすさを重視することが、大きなポイントです。難しい単語などは避けるようにして、誰もが分かる言葉を使うように意識しましょう。そして印象に残るフレーズにし、会社の基本的な考え方が伝わる文章でなければいけません。あまりに抽象的な言葉を使うと、漠然としたものになり、フレーズとしては恰好が良くなるかもしれませんが内容は伝わりにくくなります。逆に具体的な内容を並べ立てれば長々とした文章になってしまうため、他社の事例などを参考に上手くまとめましょう。

なるべく短文でまとめる

なるべく短文でまとめることも、社是を作成する際のポイントです。前述のように、わかりやすさを重視するあまりに具体的な事項を多く並べると、読む人に本質が伝わりづらくなります。かえって理解できなくなることや、長文にすることで要点がわかりにくくなり、ブレが生じることにもなり兼ねません。社是は分かりやすい言葉を使いながらも、覚えやすい短文にするのが理想です。長文や複数文での社是を採用する会社もあるようですが、社内外に浸透しやすい、短い一文に集約するようにしましょう。

外部への発信も意識する

社是を作成する際には、外部への発信も意識しましょう。社是は経営陣や従業員だけでなく、ステークホルダーである取引先や株主などにも見られていることを忘れてはいけません。社是は会社の顔とも言えるもので、これから株式を購入する人へのアピールにもなります。会社の思いや将来のビジョンが広く伝わるように、外部への影響も考慮して考えましょう。ただし、好印象を与えるために美辞麗句を並べるだけでなく、外部からも共通の認識を得られるかを考え、変更が必要であれば随時手を加えていくことが大切です。

社是を浸透させるための3つのポイント

必要性の訴求

社是を浸透させるための一つ目のポイントは、必要性の訴求です。従業員が必要とするときに、いつでも見られるようにポケットに入るような小さな冊子やカードなどに社是を書いて配ることも良い方法です。手元に置いたり携帯できたりすることで、社是が身近なものになります。また、社是は分かりやすく短文にするため、どうしても抽象的な言葉を使わざるを得ません。意味を分かりやすくするために、言葉の真意を説明したパンフレットなどを作成して配布することも有効と言えます。

具体性の訴求

社是に具体性を持たせることで、多くの従業員やステークホルダーに理解してもらい、広く浸透させることができるでしょう。多くの関係者が集まる場所で、新しい社是を公開するのは効果的です。社是の具体的な意味を理解してもらうためには絶好の機会と言えます。企業ではたくさんのイベントを用意していますから、その中で時間を作っていただき、新しい社是と将来への展望を十分に理解してもらいましょう。言葉だけでは伝わりにくいこともあるため、気軽に見られて理解しやすい理念ブックやムービーなどを使って具体的にイメージできるようにすることも良策です。

継続性の訴求

社是は企業にとって重要な制度であり、行動に表すことが前提であるとともに継続することが重要です。そのため、時代の変化によって社是がそぐわないものになったとすれば、制度の見直しが必要になります。制定された当初はぴったりとマッチしていた社是であったとしても、社会情勢や企業も変化しており、状況が変わった中でミスマッチの社是を掲げていても意味はありません。状況の変化に合わせて柔軟に社是を変更することにより、社是の継続性が保たれます。そのような意味から、社是は定期的に見直しをすることが大切です。

社是の企業事例

セブン&アイ・ホールディングス

コンビニエンスストア経営から多様な事業を手がけている「セブン&アイ・ホールディングス」では、以下のような社是を掲げています。「私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい」。「私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい」。「私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい」というものです。3つを見て分かるように、全てに対して「信頼」され、「誠実」であることの重要さを強調しています。3つの文に分かれてはいるものの、共通した考え方が良く伝わってくる特長的な社是です。

Google

情報技術の分野で最先端の商品やサービスを提供する「Google」の社是は、簡潔かつイメージしやすい文言でまとめられています。「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです」。「デジタルの力で解き放とう、日本の可能性・日本の皆様とともに、持続可能で責任あるデジタル化を」。「最も信頼され、最も貢献できるローカルパートナーを目指して」と結んでいます。社是には世界各国に向けた、Googleの壮大なビジョンが書き表されており、Googleが実際に行っている事業と重なるもの秀逸な社是です。

本田技研工場株式会社(Honda)

1956年に本田技研工場株式会社が制定した社是は今も変わらず、ホンダの企業哲学ともなっています。「わたしたちは、世界的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす」というものです。この社是の基盤となっているものは、自立・平等・信頼という「人間尊重」と、買う喜び・売る喜び・創る喜びの「3つの喜び」です。ホンダの企業哲学は創業者が考えたものですが、言葉だけで終わることなく、皆が全力で実践していくことこそ重要であると訴えかけています。

キューピー

食品メーカーの「キューピー」では、「楽業偕悦(らくぎょうかいえつ)」という言葉を社是に掲げています。「志を同じくする人と業を楽しみ悦びをともにする」という意味が込められた言葉です。仕事のやりがいと、こだわりの商品提供およびサービスを展開してきたキューピーならではの社是であり、長く続いてきた伝統ある企業の言葉と言えます。この社是も創業者が考案したものであり、苦楽をともにした仲間と働くことの悦びと、その中で生まれたこだわりの商品を、心を込めて提供するという誠意が伝わってきます。

まとめ

社是を浸透させ従業員が活躍できる組織を作ろう

社是を作り社員に浸透させることで、経営陣と作業者が一体となって行動することができます。これは従業員のモチベーションアップおよび生産性向上に繋がるものであり、延いてはお客様満足度をアップさせるものです。また、ステークホルダーなどの関係者へ、企業の信頼と将来性をアピールすることにもなります。ただし、市場や顧客のニーズは常に変化しているため、社是も変化に柔軟に対応することが求められます。ぜひ、社是を浸透させ、従業員が活躍できる組織作りに励んでください。

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