欠勤控除とは【欠勤控除の例や計算方法、注意点などを紹介します】

記事更新日:2024年04月24日

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仕事をしているうえで、従業員が休んだ日には欠勤となり1日分の給与が引かれることは当然だと思う人も多いことでしょう。これを「欠勤控除」と呼んでいますが、欠勤控除には体調不良などによる遅刻や早退も含まれます。このような場合には1日分ではなく、相応の時間分を給与から差し引くことになるのが一般的です。また、有給休暇を使用した場合には、給与が支給されているため欠勤控除を適用することができません。ここでは、知っているようで割と知らない「欠勤控除」について、詳しく解説いたします。ぜひ今後の業務などで参考にしていただければ幸いです。

欠勤控除とは

給与から労働しなかった時間の賃金を差し引くこと

欠勤控除とは、給与から労働しなかった時間の賃金を差し引くことを言います。なお、欠勤とは本来働くべき日であったのに、突発的な体調不良などによって自己都合で仕事を休むことです。欠勤によって働かなかった時間分の賃金を差し引くことが欠勤控除であり、他に遅刻や早退にも適用されます。つまり、時間や日数などに関わらず、所定の日に働かなかった時間分を差し引くことです。また、給与が支給される有給休暇や会社が定めた賃金が発生する休暇は、欠勤控除の対象からは除外されます。

ノーワーク・ノーペイの原則に基づく

欠勤控除とは、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいた考え方です。ノーワーク・ノーペイの原則とは、「労働者が働いていない場合、使用者はその部分についての賃金を支払う義務はない」という給与計算の基本原則になります。従業員が個人の都合によって、欠勤や遅刻または早退をして働かなかった時間が発生した場合には、使用者である会社などは従業員に賃金を支払う義務はないというものです。産前産後休暇や育児休暇などの法定休暇も、休暇を取得することが認められた制度ではありますが、やはり無給が原則となっています。

減給との違い

減給とは、欠勤に対するペナルティであり、月給から定率額を差し引く懲戒処分の一環です。ですから、減給を課す場合には、就業規則に懲戒処分として定めていなければなりません。また、1回の不祥事につき減給できる上限額は平均賃金1日分の半分以下であり、減給総額は月給の10%を超えてはならないと労働基準法に定められています。もし減給を課した場合には、すでに欠勤分の賃金が差し引かれていると考えられるため、欠勤控除の対象にはなりません。

欠勤控除の例

体調不良による欠勤

体調不良による欠勤は、欠勤控除の中でも最も多い事例と言えるでしょう。有給休暇を使う場合を除いて欠勤控除が可能であり、体調不良による遅刻や早退も同様です。また、体調不良の中でも「生理休暇」など、特別な事由による休暇を認めている会社も多くあります。生理休暇は、労働基準法で定められており、一定の要件を満たすときに付与される休暇ですが、有給か無休かは会社の判断に委ねられているため就業規則の確認が必要です。

インフルエンザによる欠勤

インフルエンザはウイルス性の感染症であり、風邪と同じような症状を伴います。ただし、風邪などと比べて感染力が非常に強く、高熱が出るなど重症化することもあるため、罹患した場合には出勤してはいけないという考え方が一般的です。企業によってはインフルエンザに罹患した場合には、休業手当が支給される特別休暇として扱い、会社側より出勤しないように命令されることもあります。こうした場合には欠勤控除から除外されますが、有給とならない場合や本人が申し出ないときには、通常の欠勤となり欠勤控除の対象となります。

子供の迎えによる早退

子供の迎えによる早退は良くあることで、保育園などに預けている子どもの具合が悪くなったときなどは、早めに迎えにいかなくてはなりません。早退も欠勤控除の対象であり、早退した時間だけ賃金を差し引かれることになります。ただし、有給休暇が多くあるときなどに有給休暇とした場合には、欠勤控除の対象となります。会社によっては時間単位の有給休暇を認めている場合もあり、欠勤としたくない場合には有効な手段と言えるでしょう。

裁判員に選ばれたが有給休暇が残っていない

裁判員に選ばれたが有給休暇が残っていない場合、欠勤扱いにするかは企業の判断に委ねられます。ただし、欠勤扱いになったとしても、相応の日当と旅費が支払われます。余談になりますが、日当は裁判所にいくために生じる負担や損害を補填する意味のものです。そのため、有給休暇をとっていたとしても日当は支払われますが、二重に報酬を受け取ることにはなりませんのでご安心ください。裁判員制度を維持継続したいという裁判所および法務省の意図を汲んで、特別な有給休暇を定める企業も増えていくことでしょう。

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欠勤控除の計算方法

欠勤時

月給制の欠勤時における欠勤控除の計算方法は、「欠勤控除額=月の給与額÷月の所定労働日数×欠勤日数」で求められます。なお、「月の所定労働日数」は月ごとに変わるため、「年間の所定労働日数÷12(か月)」で計算し、欠勤控除額が月によって変動することを防いでいます。なお、フレックスなどを含む特殊な勤務形態の場合には、欠勤控除の計算および処理方法が異なりますので、就業規則などで事前に確認しておくのが良いでしょう。

遅刻・早退時

遅刻や早退時の欠勤控除は、1分単位で計算しなければいけません。10分や15分単位などの方がキリはよいため、算定控除した場合には違法になるので注意が必要です。控除額の計算は、月給額を1か月の所定時間で割って1時間当たりの賃金を割り出し、遅刻や早退によって働かなかった時間数を乗じて算出します。計算式は「欠勤控除額=月の給与額÷月の所定労働時間数×遅刻や早退の時間(欠勤時間数)」で、小数点以下は切り捨てとなります。

各種手当について

欠勤控除を算定する基礎額である月給には各種手当が上乗せされているため、企業では欠勤控除の対象か否かを決定しておかなければいけません。また、従業員が見て分かるように、就業規則に明記することも必要です。一般的な例として、役職手当や営業手当などの業務を行う前提として支給される手当は欠勤控除の対象になります。反対に、労働と直接関わりがないとされる、家族手当や扶養手当・扶養手当などは、欠勤控除の対象から除外されているようです。

欠勤控除を適用する際の注意点

関連するルールは就業規則に明記しておく

欠勤控除を適用する際の注意点として最も重要とされるのは、関連するルールは全て就業規則に明記しておくことです。賃金や有給休暇については、労働基準法に定められており、細かく記載されています。しかし、欠勤控除は法で定められたものでないため、各企業の判断に委ねられているのです。そのため一般的な算定方法などはあるものの、それに従わなければいけないという強制力はありません。企業では独自の算定方法や対象基準などのルールを、明確に就業規則や給与規定に明記する必要があります。

最低賃金を下回らないようにする

欠勤控除後の賃金が最低賃金を下回らないようにすることも、重要な注意点です。前述のような計算式で欠勤控除を算定した場合で、欠勤日数が出勤日数を超過したときには、控除後の支給給与が時間換算したときに最低賃金を下回ることがあります。最低賃金とは、労働基準法28条の中に最低賃金法として定められており、最低賃金を下回って賃金を支払った場合には法律違反になるので注意が必要です。欠勤日数が多く出勤日数が非常に少ないときには、出勤日数を基準にして1日あたりの賃金を乗じて計算するのが良いでしょう。

残業代の扱いを明確にしておく

残業代の扱いを明確にしておくことも、欠勤控除を適用する際に注意しなければいけません。とくに「みなし残業」を採用している企業では、欠勤の際にどのような処遇とするかを細かく決めておく必要があります。「みなし残業」を採用していても、給与規程に定められていれば、欠勤対象とすることが可能です。ただし、企業によっては「みなし残業」について、「約〇〇時間とするが、下回っても全額を支払う」などと謳っていることもあります。また、「みなし残業」に欠勤控除を適用する場合には、「みなし残業」の金額が何時間何分にあたり、実際の残業時間と比較するなど複雑な計算が必要です。

税金の扱いを確認する

欠勤控除を適用する際には、税金の扱いを確認することにも注意しましょう。住民税などは前年所得により決められた金額であり、欠勤控除の発生により変わることはないため問題はありません。注意したいのは、所得額によって変化する所得税です。欠勤控除が適用されれば所得が少なくなるため、引かれる所得税も少なくなります。よって、欠勤控除の前に所得税を計算してしまうと、決められた税額よりも多く税金を徴収してしまうことになるため注意が必要です。欠勤控除が行われた際には、税額について確認することも忘れないようにしましょう。

無断欠勤は控除の対象外になりうる

無断欠勤は控除の対象外になりうることも、注意したい重要事項の1つです。無断欠勤は通常の欠勤とは異なり、職場での信頼や秩序を脅かす行為であり、罰則が科されることも避けられません。無断欠勤により、他の従業員への負担が大きくなるうえに、また無断欠勤するかもしれないという不安を与えます。従業員同士での不公平感が高まるとともに、チームワークも大きく乱れることになり、生産性やモチベーションも低下するでしょう。そのため、無断欠勤は単なる欠勤控除からは除外し、重いペナルティを課すことも多くあります。

欠勤控除が適用されないケース

休職・休業期間

欠勤控除が適用されないケースに、休職中や休業期間であることが挙げられます。実際に休職や休業中である労働者には、給与支払いをしない会社が多いため、欠勤控除の対象になることはありません。また、設備の不具合などによる会社都合の休業であっても、欠勤控除の対象外となるのが一般的です。ただし、会社側都合によるため、会社側は休業手当として平均賃金の6割以上を労働者に支払うことになります。従業員がどのような理由で休職および休業に至ったかは、調べておいた方が良いでしょう。

年次有給休暇

年次有給休暇とは、労働者が申告することにより取得できる休暇であり、法律に基づいて付与され使用できる有給での休暇制度です。会社側は就業規則に基づいて給与を支払うため、欠勤控除は適用されません。なお、有給休暇は雇い入れから6ヵ月を経過しないと付与されないため、その間は有給休暇が使用できないため、入社から6か月は欠勤控除の対象になります。また、無断欠勤は別として、体調不良などによる欠勤であっても賞与や昇給の査定に響くことも多く、後日に許可を得て有給休暇とすることも多いようです。もちろん、給与が発生する有給休暇に欠勤控除は適用されません。

まとめ

欠勤控除の適用範囲をよく理解し適切に給与計算を行なおう

欠勤控除とは、あくまで個人の私的な理由での欠勤によって、給与から欠勤分の賃金を控除することです。ただし、欠勤控除が適用されない有給休暇であっても、私的な理由で休暇をとることが許されています。そこで企業によっては、長く働いた人は多くの有給休暇を残していることから、無断欠勤でなければ体調不良による欠勤を有給休暇で補ってくれることも多くあります。欠勤控除とともに休暇制度の適用範囲をよく理解して、適切かつ公平な給与計算を行なうように努力してください。

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