人時生産性とは?【向上させるための方法やその事例を踏まえて解説します】

記事更新日:2024年04月26日 初回公開日:2024年04月26日

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働き方改革が大きく叫ばれるようになり、大企業以外でも労働環境や待遇の改善が求められています。日本では労働人口が減っているうえに働き方改革が進むことで、総労働時間を短縮しなければいけません。企業では総労働時間を減らしながらも、利益を維持することが大きな課題となっています。そこで注目されているのが「人時生産性(にんじせいさんせい)」と呼ばれる数値です。人時生産性を高めることで、企業は対面する課題を解決し、企業の利益を確保することができます。ここでは、人時生産性の意味や注目される背景から、人時生産性を高める具体的な方法までを詳しく解説いたします。

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人時生産性とは

従業員1人が1時間でどれほど利益を生み出しているかを表す指標

人時生産性とは、従業員1人が1時間でどれほど利益を生み出しているかを表す指標になります。従業員1人につき1時間当たりの生産利益を知ることができれば、1日当たりの利益や月の利益も簡単に求められます。これによって支払賃金などと比較し、企業として相応の利益が得られる健全な経営状態であるかを分析することが可能になるのです。また、もっと範囲を絞り職場単位での人時生産性を算出すれば、不採算部門などが浮き彫りとなり経営戦略立案にも役立ちます。

粗利/総労働時間で計算することができる

人時生産性は、「粗利÷総労働時間」で計算することができます。粗利益とは売上高から売上原価だけを差し引いた金額です。そのため人時生産性を算出するには、正確な粗利益の金額と従業員の総労働時間を知る必要があります。とくに勤務形態が特殊である場合などでは、正確な総労働時間を把握するために徹底した勤怠管理が必要です。総労働時間とは利益に関わる全従業員の労働時間であり、売上原価には直接人件費などが含まれていることも覚えておきましょう。

労働生産性との違い

労働生産性とは、「産出量÷投入した労働量」によって求められる数値であり、投入した労働量に対する成果を現す指標です。人時生産性との大きな違いは、人時生産性では原価や直接人件費が除かれた粗利益であるのに対し、労働生産性では生産された物量であることです。人時生産性には複数の要素が含まれているため、労働時間や原価率など細かい対策に利用することができますが、労働生産性では一人当たりの生産量などを知るためだけに有効であり、人時生産性よりも限定的な指標と言うことができます。

人時売上高との違い

人時売上高とは、「売上高÷総労働時間」によって求められる、従業員一人が1時間で売り上げる金額の指標です。人時生産性との違いは、コストを含めた「売上」か、コストを除く「粗利益」かという点になります。経営分析や戦略を立てるうえでは、両方の指標が重要になります。売り上げなくして利益は発生しないため、まずは目標の売上額を決めたうえで適正な労働時間を考えることが必要です。そしてコストなどを差し引いて利益がいくら出るのかを考え、総合的に戦略を立てることになるでしょう。

平均データ

人時生産性の平均データは、経営戦略を考えるうえで非常に参考になるので、より新しい情報や平均データの推移を把握しておきましょう。自社が属する業種の平均データの数値と推移を見ることで、業界水準や傾向を知ることができます。一般に人時生産性の目安は5,000円と言われていますが、実際にそのような高い数値を記録している業種はありません。2021年に中小企業庁が発表したデータでは、製造業が2,847円・小売業が2,444円・宿泊業で2,805円・飲食店が1,902円と、業種で大きな差があります。

人時生産性が注目される理由

労働者不足が顕著であるため

人時生産性が注目される理由に、労働者不足が顕著になっていることが挙げられます。日本の労働人口は年々減少しており、今後も少子高齢化が進むと予測できることから、さらに事態は深刻化するでしょう。企業側では有能な人材獲得戦略を練ってはいるものの、人手不足を解消する術はありません。そのため、少ない人員で同じ利益を獲得する仕組み作りが必要であり、その方法を考えていくためには人時生産性という指標を参考にし人時生産性を高める取り組みが重要です。

生産性の向上が必要とされているため

日本は経済先進国でありながらも、労働生産性の低さが顕著であり、2021年における労働生産性はODEC加盟国である38各国中29位となっています。主要先進国の中では最下位となっており、国際競争で勝ち残るためには、生産性の向上が不可欠とされているのです。働き方改革も進む中では、限られた時間の中で付加価値の高い商品やサービスを生みだすことが求められています。業務の効率化やコスト削減を実施しながら労働生産性を向上させることで、いままで以上の利益を確保することができるのです。

人時生産性を向上させる方法

人材の配置を見直す

人時生産性を向上させる方法の一つが、人材の配置を見直すことです。人時生産性を高めるためには、粗利益を増やすか総労働時間を減らすことで実現できると考えられます。人材の配置を見直すことは、総労働時間を削減するのに有効な手段です。従業員の適性に合わせた人材配置をすることで、同じ工数を短い時間でこなすことができます。一つの企業であっても他業種が存在し、従業員の向き不向きがあるはずです。それを見極め適正な人員配置を行うことで、労働時間を短縮し人時生産性を向上させることができるでしょう。

業務を効率化させる

業務を効率化させることも総労働時間を削減することに繋がるため、人時生産性を向上させる有効な方法と言えます。業務の効率化や改善を行うには、全ての業務工程を見直すことが重要です。客観的な視点から工数や工程に要する時間などを比較分析することが大切で、全体の生産工程を見て作業が停滞していると思われる部分をいくつか抽出してください。全ての作業に問題があることは少なく、限定された箇所で問題が発生していることが殆どのため、発生部分を突き詰めることで問題の本質をつかむことができます。

ツールを利用する

ツールを利用することも、人時生産性を向上させるために効果的な方法と言えます。現代社会において、便利なツールが多く存在しており、データ分析や記録などに有効です。紙ベースでのアナログ方式では、時間がかかるうえにヒューマンエラーも多発します。また、最新の情報を組織内で共有することができ、時間と労働力を削減できるのは大きなメリットです。同じ情報を共有するとともに、同じツールを使って作業を行うことで、企業全体のコミュニケーションが活性化することにも繋がります。

従業員のモチベーションを維持させる

従業員のモチベーションを維持向上させることは労働生産性を高めることになり、延いては人時生産性を向上させる結果をもたらします。反対に従業員がモチベーションを低下させることになれば、生産性に大きく影響し利益を圧迫することになるでしょう。従業員のモチベーションを高く維持するためには、経営陣と従業員でのコミュニケーションを十分にとる必要があります。人時生産性を向上させるために変化が必要であることを、丁寧に説明することが重要です。また、人事評価制度を見直すことや、従業員の本音を聞く定期的な話し合いの場を設けることも有効な手段と言えます。

人時生産性を低下させる要因

生産ロス

人時生産性を低下させる要因の1つが、生産ロスです。生産ロスとは、製造現場で発生する時間的な無駄になります。部品などを運搬する際に必要以上の時間がかかることや、不良品を手直しするための時間などが、生産ロスと言われるものです。生産ロスを改善するためには、通常での運搬時間と比較してオーバーした時間や、不良修正にかかった時間を知る必要があります。その時間がどの程度なのか、回数や期間を区切って数値にすることから始めましょう。それから問題となる工程を適切な時間に近づけるように、客観的な視点から作業工程を見直して工夫と対策を考えてください。

管理ロス

管理ロスとは、社員が指示を待つ時間や材料が届くまでの待機時間のことです。生産ロスのように見えますが、製造現場でのロスではなく管理ロスという捉え方をします。これは管理部門が立案した生産および修理プランが、調整不足や突発的に発生した故障などによるためです。つまり、適正な管理プランを立てていれば起こりえなかった無駄な時間という解釈で、管理部門の責任に該当します。ただし管理ロスには、予測できない外部要因から発生する仕入れの遅延なども含まれており、自社単独では対処が難しい部分もあります。

動作ロス

動作ロスとは、従業員の作業動作に無駄があることから発生する時間的ロスです。例えば流れ作業において、右から左に動いて行くものに対し、先行する左側の作業を先に行い次に右側の作業を行うのが一般的な作業方法になります。しかし、作業場のレイアウトや何かしらの都合上で反対に作業をすることになると、動作ロスが発生するとともに従業員にストレスを与えることにもなり兼ねません。他にも材料の置き場所や、材料の補充がスムーズでなければ、従業員に手待ち時間や移動時間が発生することになります。

手動によるロス

手動によるロスとは、機械などの導入により自動化できることを手作業で行うことで発生する無駄な時間です。自動化できる作業の多くは単純作業であり、機械やロボットなどで行う方が正確であり、時間と労力を大幅に削減することができます。一時的にコストが膨らむでしょうが、短い期間で取り戻すことが可能です。単純作業は従業員にストレスを与えることも多く、機械を導入することで従業員のモチベーションアップも期待できます。そして作業にあたっていた従業員を別の場所に配置できることも大きなメリットです。

編成ロス

編成ロスとは、流れ作業をするときにライン設計に不具合があって生じる無駄な時間です。複数の工程がある場合には、先の工程が終わらないと次の工程に移ることができません。先の工程に時間がかかる場合には、次の工程に関わる人に待ち時間が生じてしまいます。このような状況を編成ロスと言い、作業の順番を変更することや、投入する人材を増減するなどにより対策を打たなければなりません。ライン設計は不具合に気付きにくいため、定期的に改良の余地がないか、従業員全員で考えるようにしましょう。

人時生産性向上の事例

株式会社東京さえき

企業の収益アップを図るためには、ビッグカンパニーの施策やトレンドを追いかけるのが常態化しています。そんな中で、ひときわ異彩を放っているのが「株式会社・東京さえき」です。総合食品を販売する東京さえきでは、規模を大きくするよりも規模に見合う最高のサービスを目指しています。そのために、「流れ作業の改善」と「一人あたりの生産性の向上」と「誰でもできる標準化」の3つを柱に、人時生産性向上に取り組んでいる企業です。これらの取り組みによって収益はアップし、従業員のモチベーションも向上しています。

まとめ

人時生産性を向上させて労働者不足に対処しよう

人時生産性とは、単に売り上げだけでなく材料費や直接人件費を除く、時間当たりの利益生産額であり、企業の収益アップを図る大部分の要素を網羅している指標です。人時生産性の改善を考える場合には、含まれる要素のどこに改善する部分があるかを見極めることが重要になります。まず、どの部分を改善するのが最も効果的かを考えて、対策を打ち出していきましょう。今後は、いま以上の労働力不足が予測されます。人時生産性を向上させるように努力し、労働者不足に対処していきましょう。

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