ホーソン実験とは【内容や活用例についても解説します】

記事更新日:2024年03月19日 初回公開日:2024年03月18日

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ホーソン実験は1920年代からアメリカで行われた労働の生産性を検証する実験です。ビジネスにおいて、労働者の生産性を上げるにはどうすれば良いかという問題は、現代企業にとっても重要な課題の一つです。そのため、ホーソン実験で得られた結果はホーソン効果も含め、企業が従業員の労働生産性を考える上でのヒントになります。そこで、今回はそんなホーソン実験の内容や行われた背景、結論を活かせる活用例をご紹介します。従業員の生産性を向上させるための取り組みに興味のある方は是非ご参考にしてみてください。

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ホーソン実験とは

生産性を検証する実験

ホーソン実験とは仕事の生産性を向上させるためにはどんな要素が必要なのか検証するための実験です。この実験はアメリカのウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で1924年から1932年に実施されたことから、工場の名前を取りホーソン実験と名付けられました。ビジネスにおける生産性の向上は現代の企業においてもクリアすべき重要な課題の一つです。そのためホーソン実験で得られた結果を正しく理解できれば、業務改善のヒントにもなります。

ホーソン実験が行われた時代背景

生産性の向上を課題としていた

ホーソン実験が行われた当時のアメリカは第一次世界大戦を経て好景気の最中であり、国民の消費活動も盛んに行われていました。しかし、消費活動に商品の生産が追い付かないと企業は大きな利益を得られません。そのため、様々な産業が発展する過程で、企業は低いコストでどれだけ効率良く商品を生産し、利益を上げるか考えなくてはならなくなりました。ホーソン実験の実施にはこのような社会的背景があり、時代がかけ離れてはいるものの仕事の効率化という観点では現代の企業が抱える問題とも重なる部分があります。

労働者のモチベーションが低下していた

ホーソン実験が行われたのには労働者のモチベーションが低下し、離職や無断欠勤なども問題が増えたことにも理由があります。当時の企業はホーソン実験以前に採用されていた科学管理手法を利用して、大量生産を実現させました。しかし、科学管理手法には問題点があり、単調すぎる業務や長時間労働を理由に従業員の離職が増加しました。また、科学管理手法の特性から、熟練した技術を持つ労働者の必要性が無くなったことで雇用の定着は困難になりました。このような現状を危惧して、開始されたのがホーソン実験です。

ホーソン実験以前に用いられていた管理手法

テイラーの科学的管理法

テイラーの科学的管理法とは、アメリカの経営学者であるフレデリック・テイラーが提唱したマネジメント手法です。科学的管理法は課題の管理と作業の標準化や作業管理のために最適な組織形態を重視したマネジメント手法です。科学的管理法は商品の生産にあたり必要な工程にかかる標準的な時間と業務フローを合理的に定め、計画的に進捗管理を行うことで生産性を最大化させることができます。これを行うことで当時のアメリカ企業はより効率良く商品を大量生産することが可能になりました。

科学的管理法をもとに考えられた手法

科学的管理法では商品の生産における手順を固定し、細分化した工程を書く労働者に割り振ることで業務管理を行います。この方法には、人材の育成の手間を省き、誰が業務に携わっても成果物を同程度のクオリティに保てるメリットがあります。しかし、当時の科学管理手法は労働者を機械の部品のように扱うという側面もあります。生産性や効率化を重視し過ぎていたため、労働者個人の人間性への配慮が欠けており、結果的には労働者のモチベーション低下を招く結果となりました。

ホーソン実験の内容

照明実験

ホーソン実験の一つである照明実験は、仕事場の100ワットの照明から25ワットにまで照明量を下げて、生産性の変化を検証するものです。この実験でホーソンは仕事場の照明が明るい方が、従業員の生産性は高まるだろうと仮説を立てました。しかし、実際の検証では、どちらの環境下で作業をしても、生産性は一定時間が経つと上昇する傾向にありました。そのため、この検証からは仕事場の照明の明るさと生産性には関係が無いことが分かります。

組み立て実験

組み立て実験では無作為に選んだ女性労働者6人のうち、5人を作業員とし1人を世話役とした状態で、賃金と休憩時間や室内温度を変化させ検証を行いました。この検証は、物理的な労働環境が悪ければ生産性も低下するという仮説を元に行われています。しかし、当初は労働環境を好条件にすると生産性の向上が見られましたが、その後に条件を戻しても生産性は低下しませんでした。そのため、ホーソンは労働生産性に影響を与えているのは、チームの人間関係などの内部的要因が関係しているのではないかと考えました。

面談実験

面談実験は賃金などの労働条件よりも、仕事の管理体制や人間関係が労働生産性に影響を与えているという仮説の元で労働者2万人以上を対象にインタビューが行われました。この面談実験を行った結果では、労働者の仕事に対する満足度は労働条件などの物理的な要因ではなく、個人の主観的な好みや気持ちが大きく影響していることがわかりました。この結果からは、仕事における労働者のモチベーションは感情に起因する部分が大きく、労働生産性と職場の物理的環境の関連性は小さいことが分かります。

バンク配線作業実験

バンク配線作業実験はこれまでの実験結果を踏まえて、労働者を職種でグループ分けし、電話交換機製造過程の一つであるバンク配線作業を行わせました。この実験は職場環境には特定の人たちによる小グループが、社会統制機能を果たしているという仮定が立てられています。実験では仮設の通り、グループ内には個人的な組織があり、上司や部下などの地位に関係なくこの組織が形成されることが分かりました。また、労働者は場面や状況に合わせて自分の働きをコントロールしていることも発覚しました。

ホーソン実験から得られたこと

インフォーマルグループが重要であること

ホーソン実験の一連の検証から得られた結果では、労働者は常に全力を出して仕事の従事しているわけではなく、仕事のモチベーションに労働条件はそれほど関係していないことです。また、労働者の生産性に大きな影響を与えるのは職場内の個人的な人間関係であるインフォーマルグループであることも分かりました。この二つの結果から導き出せるのは、労働者の生産性を上げるためには、上記のインフォーマルグループがかなり重要だということです。

ホーソン効果

ホーソン効果とは

ホーソン効果とは、ホーソン実験の結果を元に提唱された心理効果です。ホーソン効果とは自分が注目を浴びることで、期待に応えたい気持ちが高まることを指します。ホーソン効果では、自分が他者から関心や注目を集め、認められることで仕事に対する意欲の向上が期待できると言われています。この「注目されている」という意識が良い方向に働くことで、労働者は仕事の生産性を向上させることができます。そのため、職場の生産性をアップさせるには労働条件の改善だけでなく、労働者の意欲を向上させるための働きかけが重要です。

ピグマリオン効果との違い

ピグマリオン効果とは、上司から部下に対しての期待を表現することで、部下のモチベーションやパフォーマンスは高まるという心理効果のことです。そのため、他者からの期待で本人のモチベーション向上が期待できるという点ではホーソン効果と似ています。しかし、ピグマリオン効果はあくまで、目上の人からの期待によって部下のモチベーションが高まるという言説のため関係性は限定されています。これに対して、ホーソン効果は上下関係を問わない働きのため、微妙に意味が異なります。

ホーソン実験の結論の活用例

コミュニケーションの場を多く作る

ホーソン実験の結果からは、従業員の生産性を上げるには職場でのインフォーマルグループの構築が重要なことが分かりました。この結論を実際の職場で活かすのに最適な方法は、従業員同士のコミュニケーションの場を多く作り、グループ形成を助ける働きかけをすることです。具体的には社内で懇親会を開く、上層部と一般社員の意見交換を行う、社内の休憩場所の設備を整えることなどが例として挙げられます。このように、従業員が周囲の人と独自の関係を作れる機会を設けることでインフォーマルグループが作りやすくなります。

インフォーマルな活動を企画する

ホーソン実験の結論を活かすためには、労働者のインフォーマルな活動を企画することも大切です。例えば、会社内で同じ趣味を持つ人材を集めて定期的なサークル活動を企画すると、部署や役職を問わず、共通の趣味の集まりというインフォーマルグループが出来ます。一部の企業では会社の福利厚生として、スポーツなど社員の健康維持に貢献できる内容のサークル活動に毎月支援金を提供しているケースもあります。このように、同じ趣味や関心を持つ人同士を集めて、繋げることでもインフォーマルグループは形成しやすくなります。

相談先を複数つくる

ホーソン効果は自分が他者から関心を集めているという実感から成り立ちます。逆に言えば、自分は誰からも注目されておらず必要とされていないと思ってしまうと、労働者の生産性は下がります。そのため、この生産性の低下を予防するためには、複数の相談先を作り、労働者1人1人が「自分に関心を持っている人が居る」と実感できる状態を作ることが大切です。具体的には、仕事に行き詰った時に上司に相談しやすい環境を整えることや、労働者向けの相談窓口を設置するなどの対応が有効です。

表彰制度を設ける

ホーソン実験の結論を効果的に利用するには、会社に表彰制度を設けるのも有効な手段の一つです。例えば、年度末に各部署や分野から優秀な成績を収めた従業員を選出し、表彰を行うと従業員は「頑張りを認められた」と思い、さらに結果を出そうと努力します。また、大々的な表彰を行えば、表彰されていない従業員にも努力すれば認めてもらえると示す機会になるのもこの方法のメリットです。このように優秀な人材を表彰することでも、従業員のモチベーション向上が期待できます。

リーダーが積極的に動く

インフォーマルグループは、会社がどれだけ制度を整えても従業員が自分で関係構築に動かなければ構築が困難です。そのため、集団の中では各従業員が周囲の人に馴染めるようにフォローする人材が必要です。このような役割はチームのまとめ役であるリーダーが、コミュニケーションを活発化させることで果たせます。例えば、発言の少ないメンバーに積極的に相談相手に乗ることで、本人やリーダー自身に話しかけやすい空気を作れます。このように、ホーソン実験の結果を活かすためには、会社の仕組みだけでなく、人から人への働きかけが重要です。

まとめ

ホーソン実験の概要を理解し社内の生産性を高めるのに役立てよう

ホーソン実験の結果からは、仕事の生産性は仕組みだけではなく労働者のモチベーションに左右されることが分かりました。さらに、そのモチベーションは労働条件だけでなく、職場の人間関係にも大きく影響を受けていることも判明しています。そのため、企業が限られたコストや人員でより仕事の能率を高めるには、従業員の内面にも配慮することが重要と言えます。従業員の心身の健康や意欲向上は企業だけでなく、従業員本人にとっても有益なので、職場のインフォーマルグループの構築を手助けして従業員の生産性向上に努めましょう。

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