ペーシングとは【ビジネスにおける活用シーンや実践する際のポイントなどを紹介します】

記事更新日:2024年03月13日 初回公開日:2024年03月11日

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ダイバーシティーという言葉が日常的に使われるようになった昨今では、多様な価値観を持つユーザーや職場仲間などと良好な信頼関係を構築することが重要とされています。間合いや相手の話に同調する頷きなどの非言語的な要素により、相手の警戒感を解き信頼関係を築く手法としてビジネスシーンで注目を集めているのが「ペーシング」です。ここでは、ペーシングという言葉の本来の意味から、ペーシングが生み出す効果や使用場面、使用の際のポイントまでを詳しく解説致します。顧客の信頼獲得など、企業活動の一助となれば幸いです。

ペーシングとは

非言語的な伝達によって信頼関係を生み出そうとするコミュニケーションスキル

ペーシングとは、非言語的な伝達によって信頼関係を生み出そうとするコミュニケーションスキルを指す用語です。心理学用語である「ペーシング」はカウンセリングの手法として生まれましたが、ビジネスシーンでも有効であることから、ビジネス用語としても多用されています。具体的には、話す速度や声の大きさを相手のペースに合わせ、相槌や頷きをタイミングよく繰り返すことで相手を尊重しお互いの類似性を示すことで親近感を与える手法です。これによりお互いの距離感が無意識のうちに近くなり、相手が抱いていた警戒感を解くことができます。

ラポール形成とは

相手に対して信頼しているという関係を築いた状態のこと

ラポール形成とは、相手に対して信頼しているという関係を築いた状態を作り出すことを言います。「ラポール」というフランス語は心理学用語であり、心を閉ざした状態の相手と信頼関係を作っていくことで警戒心を解いて心を開いてもらうことを意味する言葉です。様々な方法でラポールと呼ばれる「信頼関係」や「心が通い合う関係」を築き、人間関係のストレスを軽減します。そのラポール形成をするうえで、最も有効とされるスキルの一つが「ペーシング」です。

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ビジネスにおけるペーシングの活用シーン

営業

ビジネスにおけるペーシングの活用シーンの中で、最も効果が発揮できる分野が「営業」でしょう。営業は個人対企業もしくは企業対企業での契約を結ぶことを目的としますが、交渉は個人同士で行われることが一般的です。そのため、どうしても個人同士の相性などが契約に影響することも少なくありません。とくに営業で効果的な方法は話し方と言われており、交渉相手と同じ方言や共通の趣味などを通じて話すことにより、意気投合して交渉が進めやすくなるというのが良い例です。

マーケティング

マーケティングにおいても、ペーシングは有効活用できます。マーケティングとは顧客が求めるニーズに応え満足させることが目的です。ユーザーは、それぞれの悩みや困りごとを抱えていますが、それをあからさまに表面に出すことはありません。そこでターゲットからポイントとなる悩みや困りごとを聞き出し、ターゲットの痒い所に手を伸ばしてあげることで信頼を勝ち取ってマーケティングに繫げます。ターゲットの趣味や職業などから切り込み、ペーシングを活用して相手の痒いポイントを見つけて信頼関係を得る核心に迫りましょう。

部下の育成

外部に働きかけるビジネスシーンだけでなく、ペーシングは「部下の育成」にも役立つ手法です。部下から信頼されるためには、部下の気持ちを良く聞いてあげるべきでしょう。部下からすれば上司がどの程度自分の話を聞いてくれているかが分からないため、ペーシングは非常に有効です。上司はなるべく聞き手にまわり、部下の話を十分に聞き信頼を得たあとで適切なアドバイスをします。信頼できる上司の話を、部下は素直に受け止めるはずです。

ペーシングに関連するテクニック

ミラーリング

ペーシングには関連するテクニックがいくつかあり、その一つが「ミラーリング」です。言葉の通りで鏡に映るように、相手の身振り手振りなどの動作を真似るようにします。態度や言葉など、具体的には語尾やまばたきなどのタイミングを合わせることで、相手は警戒心を解いていくのです。ミラーリングでは、相手が自分と同じ動きをすることで共通点が多いと錯覚することで安心感を抱いて普通は話さないようなことも話すようになります。注意したいのは、本当はこちら側が意識して真似ていることを感じさせないように、自然に行うことです。

マッチング

「マッチング」とは、相手の声に調子を合わせて話すというテクニックです。相手が話す声のトーンや話すテンポとボリュームなども合わせることで、自分に寄り添ってくれているという安心感を与える効果があります。ここでも上手な聞き手にまわることが重要であり、よいタイミングでマッチングした話し方で相手の話を盛り上げていくのがポイントです。マッチングはテレアポにも有効な手段で、相手の顔が見えなくても自分が共感していることを声で示します。そして良好な関係を築いたあとで自分の話を切り出すことで、良い返答が期待できるでしょう。

バックトラッキング

「バックトラッキング」とは、別名「オウム返し」とも呼ばれるテクニックです。相手の言ったことをそのまま返すだけですが、タイミングよく言葉を繰り返すことで、話す本人は相手に好感を抱きます。ただし、単に言葉を凝り返すだけでは相手を不快にさせることにもなり兼ねないため、話をきちんと聞いていることを意識して、良いタイミングで行うことが重要です。また言葉の全文を繰り返すのではなく、ポイントとなるキーワードだけを繰り返すことや、自分が発する会話に入れることで効果はより大きくなるでしょう。

キャリブレーション

「キャリブレーション」とは、相手の表情の変化や呼吸と声などから、心理状態や心の底にある心情を読み取るテクニックです。気持ちが浮かないときに自然にため息が出るとか表情が暗くなるように、心理状態は声や表情に表れることが多くあります。その瞬間を見逃さず、タイミング良くペーシングに繋げることが大事です。前向きな発言をしていたとしても、心の底に大きな悩みを抱えていたならば、普通の人は平常心で話すことはできず声のトーンや表情に必ず表れることを忘れないでください。

チューニング

ペーシングのテクニックである「チューニング」とは、相手の気分の状態や雰囲気などに心の周波数を合わせて寄り添うようにすることです。人の感情は心的エネルギーとも呼ばれる潜在意識にも影響されます。無意識に現れる秘めた感情に寄り添うことで、相手と深い位置で共感を創造できます。例えば、怒っている人に対しては、申し訳ないという感情を持って接するべきで、悲しい話には気の毒な顔で対応し、楽しい話には笑顔で接することで感情のレベルなどをチューニングします。

VAK

「VAK」とは、外界の物事を感じ取る五感を、3つに分類した呼び方です。視覚「Visual」・聴覚「Auditory」・身体感覚(触覚・臭覚・味覚)「Kinesthetic」の3種類を指し、個人によって得意とする感覚は異なります。そこで相手が得意な感覚にペーシングすることで、より有効なアプローチが可能です。ただし、相手がどの感覚を強く感じるかを知ることは容易ではなく、相手の行動や良く使う感覚を見極める必要があります。相手が得意とする感覚を掴めたら、その感覚に合わせたペーシングアプローチを実践しましょう。

ペーシングを実践する時のポイント

相手の仕草を真似する

ペーシングを実践する時に最も効果的で簡単なのが、相手の仕草などを真似することです。これは前述のミラーリングテクニックを実践するもので、お互いに共通のする部分が多いことを実感させることにより、自分のことを認められたと思い込むことになります。類似性バイアスには、自分と似ている人を高く評価する傾向があり、地位の高い人と同じ目線で話すことも期待できる手法です。大きなポイントは、真似していることを相手に悟られないことで、自然な会話の中で相手の仕草や口調などを、気付かれないように真似ていきましょう

相手の呼吸に合わせる

トップセールスマンなど話し上手で聞き上手な人は、総じて相手の呼吸に合わせて会話をするのが得意なようです。話す側はリズムよく話せるため、自然に会話が弾んで必要以上のことまで話してくれることも多くあります。ポイントは短い会話の中で相手の会話のリズムをつかみ呼吸を合わせることですが、難易度の高いテクニックと言えるでしょう。聞き手にまわっているうちに呼吸を合わせ、タイミングよく相槌を打つと呼吸が合いやすくなります。相手の話し方を観察するのも良い方法ですが、話の内容が分からなくなると会話が成り立たなくなるため注意しましょう。

相手の声や話し方に合わせる

相手の声や話し方に合わせることも、ペーシングを実践する時の重要なポイントです。話の速さや声の大きさを合わせることにより、スムーズに会話が進行します。とくに高齢者が話し相手の場合には、大きな声でゆっくり話さないと相手が聞き取れないこともあり、正確に情報を伝えるためにも大切なポイントです。話す相手とスピードが合わないと不愉快に感じてしまうこともあるので、とくに相手が話すことを邪魔しないことを心がけてください。また、声が小さい人にとっては大きな声が不快に思えることも多くあります、普段から声の大きな人は注意しましょう。

ペーシングを実施する時の注意点

相手に気づかせない

ペーシングを実施する時の注意点として最も重要と言えるのが、相手にペーシングしていることを気づかせないことです。不自然な会話となり真似されていることや動きがおかしいと相手に思われてしまっては、信頼を得るどころか不信感を募らせて、まとまる話も破綻してしまうでしょう。ペーシングでは同じ動作や言葉を繰り返すことも多く、タイミングのズレや言葉の入れ方が不自然であると、警戒心の強い初対面の人などは気付いてしまいます。自然なタイミングで、言葉の中や動作にテクニックを織り交ぜることが重要です。

相手をコントロールしようとしない

ペーシングとは、決して相手をコントロールする手法ではないことを理解してください。無理に誘導するなど、相手を思ったようにコントロールしようとすれば、築いた信頼関係はすぐに崩壊します。本心から相手に寄り添い、悩みや話したいことを聞いてあげようという姿勢が大事です。できるならば、こちらからセールスなどの言葉は発さずに、相手が自然にこちらの要求を聞いてくれるような状況をつくってください。自分の話を真摯に受け止めてくれる相手だと認められれば、自然に相手の話に耳を傾けてくれるようになるものです。

相手を否定しない

相手が間違ったことを言ったとしても、あからさまに否定することは相手を不快にさせることに繋がります。ペーシングを実施する際には、相手を否定しないことを心がけましょう。どうしても間違いであることを伝えたい場合には、否定する言葉を発する前に「私もそう思うけど」などと同調する言葉を付け加えます。ワンクッション入れることで否定する言葉は和らぐものですが、基本的には否定的な言葉は避けるべきです。また否定してはいけないと思うほど、話のリズムが乱れることもあるので、相手を褒めることを心がけることをおすすめします。否定しないことよりも、認めて褒めることに集中して話しましょう。

まとめ

ペーシングを利用して信頼関係を構築しよう

ペーシングは、相手の気持ちに寄り添うことで信頼を得る効果があり、ビジネスでも注目される手法です。ただし、相手の仕草を真似るような小手先のテクニックだけでは、相手の警戒心を解き良好な信頼関係を築くことはできません。相手の気持ちになって親身に話を聞く姿勢が大切であり、相手の困っていることを解消しながらビジネスに繋げることを考えるようにしましょう。自分はあなたの見方であり、いつでも相談に乗ってあげるという、相手が安心できる信頼関係を築けるように、ペーシングを利用していきましょう。

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